2012年3月21日水曜日

小さな世界

最近、母親の認知が更に進み、最近は「何か」を探そうと、家じゅうのありとあらゆる扉や引き出しをかき回し、色々なものをいじってしまう。
安全なものならいいが、特にキッチンは危険がいっぱい。

この間は、ガスコンロに焼きそばの麺を、ビニールに入ったまま直接乗せて点火し、危うくボヤになるところだったり・・・
包丁が床に転がっていたり、ゴミ箱に捨てた生ごみをあさっていたり・・・・

そんな行動を抑止するべく、母が部屋から出られないよう簡易な扉を作った。
きちんとした扉だと、介護訪問に来た人たちとの会話ができず困るだろうと、素材はラティスにした。

効果はバッチリなんだが、お袋の目線で考えた場合、自分の部屋からはトイレしか行けなくなったため、一日中閉塞感があり、辛くなってしまわないだろうか?と考えてしまう。

しかしながら介護センターの方々からは、「ナイスアイデアです」と褒められた。
俺の心配など、笑って吹き飛ばされた。
「大丈夫。本人もそんな風には考えてないです。辛いなんて感情はもう無いと思います。」

そっか、大丈夫なのか・・・
でも、そういう感情がなくなってしまう、っていうことにショックを受けた。

辛く感じることを、記憶として覚えられない、ってこと。

今日も一日中部屋の中で、一生懸命何かを探して、何かをいじっている。
時に衣類、TVリモコン、掛布団、仏壇、石油ストーブ・・・そして、自分の排泄物・・・

治ることのない病気。
戻ることのない、気高く元気な母親。


ラティスの間から覗き見る小さな世界は、辛くない?

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