2012年4月7日土曜日

田んぼ

春の訪れが感じられる暖かな陽気。
お袋の症状や投薬の状態など、定期的な検査のため会社を休んで病院へ。

夜、興奮して寝付けないことが多く、夜中じゅう起きているため、気温が下がる時間帯に出歩いてしまうことからの風邪引き、それを介護をする俺にも負担がかかる、ということから、担当の先生が精神安定剤と睡眠薬を出してくれたのだが、あまり効かない。

先生も各方面に色々聞いてくれたのだが、最近、認知症に対する投薬についてアメリカが抑制の方向に動いているらしく、日本も近く同調するだろうとのこと。

それまでの間、漢方を中心に安定剤の量を増やすことになった。
しかし、一方で副作用があり、足腰が弱くなってしまうのだとか。

そのため、「どうしても」という時だけ薬に頼ることにした。

どんなに認知がすすみ、俺のことがわからなくなっても、お袋の健康を願う。
死ぬまで元気で生きてほしい。

認知は留まることなく、確実にお袋の脳を蝕んでいく。
日常の出来事を忘れるくらいなら自分だってあるけど、慣用な行動や身体の動きまで襲っている。

自由に指を動かせない。
自由に自分の言いたいことが話せない。

それでも箸を上手に使ってご飯を食べる。
なぜかそれだけは器用だ。

でも、床に落ちたご飯粒を箸で拾い上げようとして、何故か座布団の端を一生懸命につまんでいる。
そういったことが、「認知」なのだ。

病院からの帰り道、憂鬱な思いを抱えながらふと景色を見ると、田んぼに水が引かれていた。
もう、田植えの準備なんだなぁ。

GWになると一斉に田植えが始まり、一面がまた緑の海辺になって風になびきだす。

ちょっと足を止めて畦道を歩くと、ひばりが春を謳う。


すこし、気が軽くなった。

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