2011年12月17日土曜日

羽田空港船着場

羽田空港の西側、多摩川沿いに、以前石油会社が航空重油を船で輸送していた桟橋があった。
このほどうちの会社が買い上げ、羽田空港の防災活動拠点及び観光場所として運用することになった。
しかし、大きな問題があった。
それは水の深さ。
東京湾荒川ポイント(通称AP)の水深は干潮時約50㎝~満潮時約2m。
しかも、潮位は月齢によって変化するため、満潮と干潮が入れ替わる。

また、桟橋周辺は、タンカー輸送のため、石油会社が浚渫(しゅんせつ:水底を掘ること)して水深4mくらいまで掘っていたが、なんせ東京河川の大道、多摩川の最下流である。
大雨が降れば、あっというまに土砂が深い所へ溜まっていく。

そこへ観光船をつけろ、との指令が・・・
船は当然水深(喫水という)があり、屋形船でも1.9mある。
ん?
そう、満潮時でなければ船は多摩川下流域を航行できないのだ。
良く見りゃ、多摩川の真ん中を人が長靴で歩いて、アサリ掘ってるし・・・

更に調べてみたら、もっと厳しい現実がいくつも発見。
多摩川は東京湾からの運河とつながっているが、橋がいくつもかかっていて、そこをくぐり抜けるのは背の低い水上バスのような船でなければ航行できない。
しかし、そこは「運河」であって「川」ではない。
川の流れが厳しくなったり、多摩川下流域は東京湾に直結し、海ほたるからの風で大きく波打つ。
そういった場所では、風波を切って突き進める、喫水の深い大型船舶でないとダメ。

整理しよう。
大型船舶は川上に上れない。
水上バスのような小型船舶は川下に進めない。

そう、どうやってもダメなのだ。

そんな桟橋で観光事業が成り立つか!っと課内では大モメし、社長に詳細を話す。
しかしながら、周りはどんどん話が大きくなり、先日は副大臣まで視察にきて、東京の魅力について熱く語っていった・・・・

やるっきゃないじゃん。
東京近郊の27船会社、約120船籍全て調べ上げ、多摩川下流に適した船を探しまくった。
見つかったのはたったの3隻。

この3隻で観光需要をまかなえるのか、心配が先に立ってしまうがやるしかない!
課員全員を呼び集め、円陣を組んで結束。
「ここからスタートだ。始めようぜ!」

はてさて、どんな観光名所となるのか、こうご期待。

桟橋待合所(後ろは国際線ターミナル)

遠く先には富士山

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