母親の言動は、自分で話している途中で、何を伝えたいのかわからなくなる。
「この荷物は誰に返すの?」
「この荷物って?」
荷物が何を指しているのか、わからない。
「皆帰った?」
「皆って?」
「じゃあ、あした帰ってくる?」
「誰が?」
目は真剣に俺を見ている。
やがて、自分で言っていることがわからなくなって、目線を下にやり、なんだか茫然を立ち尽くす。
ゆっくり方向転換し、キッチンにいって何かを探し出す。
探しているものがわからず、しばらくするとまた俺のところに来て、話し出す。
「誰のやつ?」
「何が?」
毎日、こんな会話を続けている。
きっと、言葉はどうでもいい
さびしくて
何か話したくて
安心したくて
心をつなぎたくて・・・・・
キャッチボールがしたいんだ
だからきちんと答えよう
「あれに乗せればいいの?」
「いや、こっちに乗せてみよう」
何を乗せるのかはわからない
でも絶対何かを乗せてやる
だから安心しなよ、ね。
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