2011年2月27日日曜日

春の陽だまり

猫を膝に、幼稚言葉でおもちゃを走らせる


老いとともに痴呆が加速しながら
様々なものを失っていく

気丈さ、強さ
頑張り

自分の行動や伝えたい言葉さえ失っていく

障子の閉め方が分からない
袋の開け方がわからない

照明のスイッチがわからない
トイレがわからない

着替えがわからない


穏やかに、春の陽だまりに包まれ、シルエットになった光景に
子供をあやす母がいた

きっと、その膝の上に、何度も俺を抱いて
俺が笑うまで
寝付くまで
包んでくれたのだろう
見つめてくれていたんだろう


どんなに病気が進んでも、母は母
忘れないものだって、ある

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