最近の母は、よく姉(伯母)を探している。
「ねえちゃん、どこいった?」
母の実姉は近くに住んでいるわけでもなく、ちょくちょく来てくれるのでもない。
でも、よく聞かれる。
きっと、信頼している姉のことを想っているうち、現実と夢想の境目がなくなっちゃったんだろう。
母は、今、どの世界に住んでいるんだろう。
どの世界が見えているんだろう。
それは、「生きている」と表現できるのだろうか。
脳死っていうけど、アルツハイマーも、一種似たようなものなのか。
確かに、以前大きな病院で脳の診察をしたことがある。
ラジオアイソトープだか、ラジオテープだか忘れたけど、その診察結果では、脳の前頭葉という部分が機能していないと言われた。
「今」でも「現実」でも「夢」でもない世界。
これは母ワンダーランド。
おとぎ話か。
かっぽう着のドレスと、白髪のティアラ。
でも、靴下は履かない。
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