2012年2月4日土曜日

消臭リキ

通院へ出かけるその日は「惨劇」から始まった。

朝起きて、母親の部屋に行くと、部屋のあちこちに固まった排泄物が転がっている。
そのうちいくつかはティッシュに包まれているが、ほとんどがそのまま。

TV台、箪笥の上、食事用テーブルにはご丁寧に並べてあるし・・・
床に落ちているものは踏みつぶされ、擦って歩いたあとも。
ふき取った跡がうかがえる無数のティッシュ屑。

大人用おむつをしているはずなのに、何故?

きっと、ウンチしたあと気持ち悪くておむつを下ろしていじってしまったのでは??
急いでお湯で絞ったタオルを用意し、ズボンとおむつを脱がせる。
異臭に顔をしかめながら、〇〇だらけになった尻をタオルで丁寧に拭く。

おむつの出来が良いのか、腿などに漏れた形跡はないが、踏みつぶした形跡があったので、足の裏から足全体、お尻を綺麗にふき取り、新しいおむつをはかせる。

続いて床掃除。
リフォームして畳から板間にかえて良かった。

早見優ちゃんがTVショッピングで宣伝するSHARK社製の高温度スチーマーを使って、100℃を超える蒸気で一気に拭き取る。
床が見えないほどのあふれる蒸気の湯気が、頑固な汚れまで拭き取る力強さと、滅菌処理を行っているという安心感を与えてくれる。
反面、その高温度蒸気が、ブツを溶かして専用モップに吸着させるため、臭いもゴイスー。
部屋中が公衆便所のような臭いとなる。

あとでファブリーズしなきゃ。

ひと通り、戦場が落ち着きをもどし、以前のような状態まで回復したところで、母親を病院へ連れて行く。
待合室で隣に座らせ、順番を待つ間、なんだか例の異臭がする。
残り香?

いつも丁寧に診てくれる先生に呼ばれ、診察室へ。
毎回気になっている血圧を測るため、母親が左腕を先生に差し出す・・・ん?
あ、わかった!

残り香の正体は手のひら。
まっ黄色!

てことは、やっぱりおむつの中から取り出していた、ってことか。
看護婦が慌てながら両の掌を拭き取る。
やっぱし病院、アルボナースらしきものまで使って、滅菌処理してるのはさすが。

手をうかつに握ってしまった先生も、やられた的な顔をしながら、一緒に手を洗う。

夜、眠れないこともある旨伝えると、睡眠誘発作用がある精神安定剤を処方してくれた。
ちょっと安心。

病院から帰る途中、スーパーに寄って昼食の買い物。
母親は車にいる、というので鍵を閉め、自分ひとりで買い物をする。
スーパーの目の前に車を停めたので、買い物しながら母親の様子がうかがえる。
おやおや、朝から結構ドタバタしてたし、車のなかが暖かいから、寝ちゃったよ・・・

さて、では慌てずしっかり買い物しよっと。

念のため、雑巾も買っておこう。
洗濯洗剤も多めにストックしておこう。
ティッシュも大量買いだな。

さて、食材とともに買い物を終え、ビニ袋に詰め込みながら車にふと目をやると・・・
うつらうつらしながら眠っていた母親が起きている。
てか、車のシートに立ち上がり、ダッシュボードに体を預け、フロントガラスに顔をつけてしかめ面のような形相でこっちを見てるぞ!

慌てて車に戻ると、シートの上でウンチしてる!

まいったー・・・

朝から嗅いでいる、なんだか懐かしくも思えてきた、その臭いに包まれながら、家へ急ぐ。

家に戻って、文字通り尻拭い。
寒空の中、車の大掃除。
臭いが取れない!車買い替えるかな~、でも金ないし・・・

一仕事終わり、疲れて寝ていたところを、向かいの食堂の親父さんから電話。
「コーヒーでも飲みに来ない?」
きっと俺がドタバタしている心中を察して誘ってくれたんだ。
嬉しい。

食堂で今日の話をしてたら、「昨日の夕方、家から抜け出して、外フラフラ歩いてたんだよ」だって。
たまたま見かけて連れ戻してくれたらしい。

この寒空、道もわからずひとりでうろついてて、誰にも声をかけられなかったとしたら、凍死する可能性だってある。

その後、介護ケアマネージャーと打ち合わせし、できるだけ手厚く介護してもらうようお願いした。
内容だけでなく、回数を増やしてもらおう。

介護が、また次のラウンドの鐘を鳴らした。

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